『行動経済学まんがヘンテコノミクス』の読書メモ②です。
今回は【アンカリング効果 / 代表性ヒューリスティック / おとり効果 / 親近効果 / 極端回避性 / 保有効果 / プライミング効果】の7つをご紹介します。
行動経済学とは?
人はなぜそれを買うのか。
安いから、質がいいから。
そんなまっとうな理由だけで、人は行動しない。
そこには、より人間的で、深い原理が横たわっている。
この本には、その原理が描かれている。
漫画という娯楽の形を借りながら。
これまでの経済学というのは「人は必ず合理的な判断で行動するもの」と考えられてきましたが、実際の私たちは好き嫌いのような感情であったり、理屈では説明できない非合理な振る舞いをしてしまうことがあります。
行動経済学とは、そういった従来の経済学では説明しきれない「人間の心理」という視点から、人の行動を解明しようという新しい経済学です。
アンカリング効果
基準が判断に影響を及ぼす。
同じ価格の同じ商品でも基準となる情報に左右されて価値の大小を判断してしまうことがある。
このような非合理な判断をしてしまうことを、基準をアンカー(錨)にたとえて「アンカリング効果」という。
A店では通常20,000円で販売、B店では通常15,000円で販売。
→両店とも10,000円に値下げした場合、A店の方が値下げ金額が大きいため得した気分になる。
代表性ヒューリスティック
私たちはイメージ(先入観)に囚われる。
*ヒューリスティック=人間の直感的判断
私たちは様々な物事を見聞きした時に既に抱いているイメージ(先入観)に囚われて偏った判断をしてしまうことがある。
Q. )ある教授のお父さんの一人息子が、その教授の息子のお父さんと話をしていますが、その教授はこの会話には加わっていません。こんなことは可能でしょうか?
A. 可能。なぜなら、教授は男性とは限らないから。
「教授」という先入観だけで「男性」を思い浮かべたとしたら、確かに話の辻褄が合いません。
そのような思い込みをしてしまうことこそが代表性ヒューリスティックなのです。
おとり効果
選択肢を生み出すことで市民権を得る。
1つでは価値が決められなかったものでも、おとりとして新しい選択肢が追加された途端、そのものが市民権を得たかのように感じられて、どちらの選択肢が良いかという問題に置き換わってしまうこと。
まだ「各家庭にあって当然」とは程遠いホームベーカリー。
ラインナップが1機種だけだと「ホームベーカリーって必要かな?」と二の足を踏んでしまうが、あえて2機種目を出すことによって「世間ではホームベーカリーが売れているんだ。だから新機種がリリースされたんだ」と市民権を得たように感じられて、「買うか買わないか?」から「どちらを買おうか?」に問題がすり替わる。
親近効果
終わり良ければすべて良し。
複数の情報を順番に提示された時、後に提示された方を印象強く評価してしまうこと。
同じ情報でもネガティブなことを最後にいうと相手はネガティブな印象を持ち、ポジティブなことを最後にいうと相手はポジティブな印象を抱く。
極端回避性
ついつい真ん中を選んでしまう。
3段階の選択肢を提示されると一番上や一番下という極端な選択を回避してできるだけ無難な選択、つまり真ん中の選択肢を選ぼうとする心理。
最初は「高い」と言って避けていた金額でも、選択肢が変わることによってガラリと評価が変わってしまうことがある。
A:10,000円 B:3,000円
→ 松:20,000円 竹:10,000円 梅:3,000円
*同じ「10,000円」でも印象が変わる。
保有効果
一度手に取ったものは手放したくなくなる。
一度でも自分が保有してしまうと、実際のその価値よりも高い価値を作り出してしまう心理。
客観的には全く同じような価値のものを交換する場合でも、自分が持っていたものを手放すことが大きな損失のように感じてしまう。
生徒たちに配られたメーカーの異なるミネラルウォーター。 味、量、成分は大差ないはずだが、「そっちと交換して。」と言われると、先に受け取ったミネラルウォーターの方が「良いもの」に思えてきて、交換すると損した気持ちになってしまう。
プライミング効果
事前の情報が解釈を左右する。
事前に与えられる情報によって、同じものを見ても解釈がガラリと変わってしまう現象。