『行動経済学まんがヘンテコノミクス』の読書メモです。
今回は【アンダーマイニング効果 / 感応度逓減性 / フレーミング効果 / 罰金による罪の意識の軽減 / メンタル・アカウンティング】の5つをご紹介します。
行動経済学とは?
人はなぜそれを買うのか。
安いから、質がいいから。
そんなまっとうな理由だけで、人は行動しない。
そこには、より人間的で、深い原理が横たわっている。
この本には、その原理が描かれている。
漫画という娯楽の形を借りながら。
これまでの経済学というのは「人は必ず合理的な判断で行動するもの」と考えられてきましたが、実際の私たちは好き嫌いのような感情であったり、理屈では説明できない非合理な振る舞いをしてしまうことがあります。
行動経済学とは、そういった従来の経済学では説明しきれない「人間の心理」という視点から、人の行動を解明しようという新しい経済学です。
アンダーマイニング効果
報酬が動機を阻害する。
好きでやっていた行動に対して報酬を与えられたことによって、逆にやる気がなくなってしまう現象。
アンダーマイニングの例
野球が大好きで大好きで仕方がない少年。毎日毎日、日が暮れるまで野球の練習に明け暮れていた。
ある日、試合でホームランを打ったご褒美に父親がお小遣いをくれることになった。 それがさらなるモチベーションとなり、ホームランを打つために、より一層野球の練習に打ち込むようになった。
ところが、ある時を境にして、父親がご褒美のお小遣いをくれなくなってしまった。
その途端、あれほど大好きだった野球の熱が冷めてしまい、練習も全くやる気がなくなってしまった。
いつしか報酬を貰うことがモチベーションとなってしまい、報酬がもらえなくなった途端、やる気がなくなってしまうのだった。
感応度逓減(ていげん)性
母数によって変わる価値。
全体の母数の大きさによって、同じ金額を大切に扱ったり邪険にしたりと勝手に価値を変えてしまう心の動き。
感応度逓減性の例
定価1,000円のシャンプーを買うとき、近くのスーパーでも売っているが、車で20分離れたドラッグストアでは半額の500円で売っているのでわざわざ車でシャンプーを買いに行く。
翌日、1万円の革靴を買う際、1駅離れた靴屋であれば500円引きの9,500円で売っているが、そこまで行くのは面倒なので、近くのショッピングセンターで1万円で買う。
どちらも値引き額は同じ500円にも関わらず、1,000円→500円と10,000円→9,500円ではお得度が違う、つまり異なる価値であると判断してしまう場合がある。
フレーミング効果
枠組みを変えると価値が変わる。
同じ情報でも言い方を変えると異なる印象を与えてしまう現象。
「死亡率20%の手術」→「成功率80%の手術」
「従来品より糖質が90%に」→「従来品より糖質を10%カット」
罰金による罪の意識の軽減
罰金を導入する前はルール破りを「申し訳ない」と思う社会的なモラルがあったが、「罰金」という具体的なペナルティが提示されたことによって、「お金を払えば大丈夫」という意識の変化を引き起こしてしまい、申し訳ないと思っていた意識が消滅すること。
罰金による罪の意識の軽減の例
保育園のお迎え。
毎日、保育時間を過ぎてお迎えに来る母親が後をたたず、園長先生は困っていた。
度重なるお迎えの遅刻をなんとかするため、ある日からお迎えの遅刻に対して超過料金500円(罰金)を請求する制度を導入した。
すると、遅刻が減るどころか、『お金を払えば遅刻しても大丈夫』と思われてしまい、逆に遅刻する母親が増えてしまったという話。
メンタル・アカウンティング(心の会計)
心の中でお金の価値を計算する。
無意識の内に入手方法や背景を考慮し、本来の金銭的価値とは異なる独自の価値をつけるような心の働き。
自分で買った5,000円の本と人からプレゼントされた5,000円の本。同じ本であり、金銭的価値も5,000円で変わらないが、心理的には同価値ではない。
どちらの本に愛着が湧くか?
普通の1万円札と、父親の形見としてお守り代わりに財布にしまっている千円札。
金銭的価値は異なるが、財布を落としてしまったとき、失ったときの心のダメージが大きいのはどちら?