『行動経済学まんがヘンテコノミクス』の読書メモ⑤です。今回で最終回です。
今回は【サンク・コスト効果 / ピーク・エンドの法則 / 確実性効果 / 確証バイアス / 決定回避の法則 / 少数の法則 / プロスペクト理論】の7つをご紹介します。
行動経済学とは?
人はなぜそれを買うのか。
安いから、質がいいから。
そんなまっとうな理由だけで、人は行動しない。
そこには、より人間的で、深い原理が横たわっている。
この本には、その原理が描かれている。
漫画という娯楽の形を借りながら。
これまでの経済学というのは「人は必ず合理的な判断で行動するもの」と考えられてきましたが、実際の私たちは好き嫌いのような感情であったり、理屈では説明できない非合理な振る舞いをしてしまうことがあります。
行動経済学とは、そういった従来の経済学では説明しきれない「人間の心理」という視点から、人の行動を解明しようという新しい経済学です。
サンク・コスト効果
これまで支払ってきたお金や時間、労力が勿体無いからやめられないという心理。
すでに支払って回収できないお金、時間、労力を「サンク・コスト(埋没費用)」と呼ぶ。
将来においても回収する見込みが全く立たない場合でもすでに使ってしまった費用に引きずられてズルズルと非合理的な決定をしてしまう心理現象。
新たに始めた事業がうまくいっておらず、この先の見通しも良くないが、これまで投資した金額の大きさを考えると引くに引けず、事業撤退に踏み切れなくなってしまう。
ピーク・エンドの法則
「最も印象の強い瞬間」と「最後の終わった瞬間の印象」を平均化してしまう傾向。
例えば歯医者での治療において、すごく痛みを感じる治療の後で、続けてそうでもない治療をしてから治療を終えると苦痛の印象が和らぐ。
確実性効果
完璧さに対して過剰に反応するあまり、費用対効果を無視して100%にすることに固執してしまう心理状態。
ほぼ完璧の状態からさらに完璧に近づけるには多大な労力が必要だが、完璧に程遠い状態から完璧に近づけるのは少しの労力で効果が出やすい。
不良率1%の商品から不良を見つけるのは大変だが、不良率50%の商品から不良を見つけるのは容易。同じ1%を改善するにも、前者と後者では必要な労力は異なる。
確証バイアス
まず直感で正しそうな答えを発見すると、その答えに飛びつき、さらには固執し、別の答えの可能性を頭から排除してしまう心理。
問題:下記の?に当てはまる数字は?
5 – 10 – 15 – (?)
過去の経験則や直感から「5の倍数→20」が正解だと一度思ってしまうと、「前の数字より大きい数字→16, 17, 20, 59も正解」と言う可能性を頭から排除してしまう。
決定回避の法則
多数の選択肢を持つことは一見自由さの象徴のように思えても、実際には多すぎる選択肢が生む迷いや戸惑いが決断を遠ざけてしまうことがある。失敗したくない。選べない。
スマホを購入する際、黒・白・ゴールドの3種類であればどれか選びやすいが、仮にカラーバリエーションが10色だとすると、「高い買い物なのに間違えたくない」と言う心理が働き、結果として選べない→購入を見送ってしまう。
少数の法則
少ないサンプルによる偏った結果をなぜか正しいと思い込んでしまう。
コインを投げて裏と表が出る確率はそれぞれ1/2だが、5回連続「裏」が出た場合、「そろそろ次は表が出るかも・・・」と考えてしまいがち。
確率は常に1/2にも関わらず、直前の結果によって判断に影響を及ぼしてしまう。
プロスペクト理論
行動経済学の考え方の基盤となる理論。
価値関数:同じ量の得と損を比較した時に、損の方を約2倍も重大に感じてしまう傾向。
1/2の確率で勝敗が決まり、負けると1,000円取られてしまうギャンブルがある。勝った時にいくらもらえるならギャンブルに参加するか?おそらく2,000円以上もらえないと参加しようとは思わない心理。
確率加重関数:確率は客観的なものだが、利得と損失が関わる状況になると主観的な評価が入り、非合理的な判断をしてしまう心理。
成功率90%の手術は残り10%の失敗リスクを気にしてしまうが、宝くじの1000万分の1の当選確率は「もしかしたら当たるかも」と実際の確率より高く見積もってしまう。